とろろこんぶろぐ

かけだしR&Dフロントエンジニアの小言

男性育休の問題の本質

概要

男性育休を取りづらいという話になるとき、おおよそ「他に取った人がいないから」とか「現場が取れる雰囲気じゃないから」とか、フワッとした理由だけ述べられるケースが散見されます。男性が育児に参加してこなかったから理解がないだけ、という話に片づけられがちです。

その問題の本質に向き合わずに「男性育休を必須化しよう」という話が出ているので、現場から見ると現実と乖離しているように感じるのだと思います。

男性育休が取りづらい問題の背景には、もちろん男性が育児に参加してこなかったことも関係しているとは思いますが、僕は育児どうこうよりも問題視していることがあるので、それを書きたいと思います。

問題の本質は何なのか

たいていの仕事は一人ではできません。組織やチームを作り大きな仕事を分担して進めています。

例えば大規模なシステム開発を例に挙げます。まずは計画を立てます。納期と照らし合わせて何人月の工数でいつまでに作り上げるか計画を練ります。

この時、納期は絶対です。

納期に遅れることは取引先の信用を失うため許されません。納期を守るために緻密な計画を立てます。どの仕事を誰がどのくらいの期間で行うか、カレンダーに線を引いて決めます。

一方、売上の見込みに対してできるだけ多くの利益を生み出すために、予算を切りつめて工数を絞ります。開発期間に対して余剰工数を生み出さないように、効率的な人員配置とスケジュールが組まれます。

そうして出来上がった緻密な工数計画表は、納期までの期間に最低限必要な工数で、きっちり組み上げられるわけです。

これは必然的に個人に仕事が依存してしまい、より休みづらいことになります。

そんな中現場でPMに「育休で1年間休みたいのですが…」と言えば「いや、もう君の工数ありきで計画を組んでしまってるから困る」という返事が返ってくることでしょう。

この納期と工数の緻密さが、育休を取りづらいことに少なからず関係しているのではないかと思います。

これは育休に限った話ではありません。長期休暇だけでなく、単なる有給ですら取りづらい雰囲気なのは、この真面目で計画的な仕事の進め方を好む企業体質、ひいては日本人の国民性によるところが大きいと思います。

じゃあどうすればいいのか

納期を緩めて遅れることを許容すべきだと思っています。 納期が絶対なら工数に余剰を設けましょう。 あるタイミングで一人長期休暇したり転職したりしても問題なく仕事が回る程度に余剰を作るべきなのです。 一時的な利益を減らしてでも工数に余剰を作ることで、結果的に心理的安全性の高いチームとして生産性が高まり将来的なメリットが生まれるはずです。

本質的に評価されるべきなのは高い品質で開発できる生産性であるべきです。

まとめ

育児休業自体は確かに子供が産まれた親にしか関係しませんが、育休の背景にあるのは工数と納期計画が休みづらさに関わっています。育休を推進することは、工数計画に余裕を生みやすみやすい職場に繋がる可能性もあります。

育児休業を推進しましょう〜!